読書日記 2008年

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ドイツ語のしくみ 清野智明 白水社 ★★★☆☆

語学の勉強は、コツコツと積み重ねが大切なのは言うまでもないけれども、とりあえずその言語の主要な特徴をざっと概観しましょう、というこのシリーズのコンセプトは気に入った。表に頼らない画期的な入門書。こちらを『はじめてのドイツ語』より先に読むべきだった。このシリーズには、フィンランド語、チェコ語、ベトナム語、スワヒリ語などの、学習意欲をそそられる比較的マイナーな(中規模の)言語も含まれている。

1格・2格・3格・4格というドイツ語に特異的な奇怪なjargonを使わず、主格・属格・与格・対格と呼んでいるのは、多言語主義の観点から大変好ましい。形容詞は、不定冠詞のような頼りないものが前に付いていると自分で格変化の印を付ける仕事をするが、定冠詞が前に付いていると、そちらが印を付ける仕事を引き受けてくれるので、自分は省エネモードに入る。この説明はなかなか説得力がある。

内容とは関係ないが、個人的には、日本語の文章にカンマとピリオドを用いるのはやめて欲しいと思う。(08/07/22 読了)

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