好かれる技術 植木理恵 新潮文庫 ★★☆☆☆
ミもフタもない題名だが、『心理学が教える2分の法則』というサブタイトルが付いている。人の出会いは第一印象、それも最初の2分で決まってしまうので、「認知的不協和」を引き出すような「フラメンコな人」を演出して、もう一度会いたいと思わせるべし、と説く。
著者は心理学者である。「この本を読み終えれば、あなたは間違いなく好印象を手に入れることができ、仕事に、恋に、人間関係に、大きな自信を持てるようになる」とか、「2分に手を抜くと人生を棒に振る」などという表現は、本書を安っぽいハウツー本に引き下げる。こういう断定的な物言いは、科学者としてはどうかと思う。
ただ、心理療法の技法を知ることは有用だと思う。カウンセラーとして大切なのは、相手の「心的事実」(客観的事実ではなく)を認め、「絶対的な肯定的態度」「共感性」「真実性」をもつことだという。いずれにせよ、本書は安い(324円)ので、読んでも損はない。(10/05/01読了)