読書日記 2010年

Home > 読書日記 > 2010年

日本語のこころ '00年版ベスト・エッセイ集 日本エッセイスト・クラブ編 文春文庫 ★★★☆☆

台湾原住民(いわゆる「高砂族」)言語研究の権威である土田滋先生とお酒を呑む機会があり、そのときに面白いお話を伺った。そのエッセイが、ここに収録されている。
台湾原住民の中でも小さな、人口約5千人のサイシャット族という民族がいる。彼らの話すサイシャット語の言語調査を行う中で、「しゃがむ」に相当する単語を尋ねたときのこと。「大便をするときに、こういう格好をするでしょう」などと言いながら、しゃがむ格好をしてみせた。ところが驚いたことに、サイシャット族はそういう格好で大便をしないのだという。しかも、サイシャット語には、「しゃがむ」という単語がそもそも存在しないらしい──。

本書には多くのエッセイが収録されていて、個人的にはあまり興味のない話題もあるし、10年以上前の話なので古臭さを感じたものもある。一般的に言って、プロの物書きが書いたエッセイよりも、そうでない人が書いた、作者の人生が結晶化したようなエッセイが心に響いた。(10/12/12読了)

前へ   読書日記 2010年   次へ

Copyright 2010 Yoshihito Niimura All Rights Reserved.