読書日記 2011年

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モンゴル語のしくみ 温品廉三 白水社 ★★★★☆

このシリーズ、画期的である。一つの言語にじっくりと取り組むのではなく、数多くの言語をツマミ食いしようとする私のような人間は、教科書の1ページ目から勉強し始めても、必ず5課くらいで挫折してしまう。しかし、語学は科学や数学とは違って、土台がしっかりしていなければ先に進めないというものではない。

この本のスタンスは、使用する語彙をごく限定的にして、ともかく文法事項を一通り説明しよういうものだ。これならば、確かに最後まで読み通すことができ、その言語の概略が分かったような気になれる。それから改めて、きちんと勉強し直しても遅くはないだろう。

モンゴル語(Монгол хэл)は、キリル文字で表記される。キリル文字の読み方は、慣れるまでに少し時間がかかるが、私はかつてロシア語をみっちりと勉強したことがあったので、その知識が大いに役立った。ただしモンゴル語では、母音を表記するために、ロシア語にはない特殊な文字が使われる(өとү)。

アルタイ系の言語は、日本語や韓国語と類似しているので、親近感がある。ヨーロッパの言語を学ぶときのように身構える必要がない。韓国語と同様に母音調和があるが、モンゴル語の場合は4パターンもある。語順は日本語や韓国語と同じで、日本語のように「てにをは」でつなげていく降着語なので、逐語訳が可能である。(その「てにをは」も、つなげる単語の母音に応じて4通りある。)また、これも日本語と同じなのだが、動詞の連体形は辞書に出てくる形をそのまま使えばよい(例:өнөөдөр үзэх кино オノードゥル ウズヘ キノ「今日見る映画」)。そして、хで始まる語が一番多いのに対し、(日本語・韓国語などと同じく)р("r"の音)は語頭に立たない。

モンゴル語トリビアをいくつか。

(11/12/16読了)

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