大地のゲーム 綿矢りさ 新調文庫 ★★☆☆☆
綿矢りさは文章が巧いのか下手なのかよく分からないが、彼女の文体は好きなのである。
でもこの小説は、どうにもリアリティーがない。まぁ近未来が舞台だからそこは作者の想像力次第で、リアリティーはなくてもいいのかもしれないが、学生運動も地震も、描写がモヤッとしていて<絵>が浮かんでこないのである。細部の詰めが甘いというか。
主人公の女にも恋人の男にも名前がないのは、普遍的な物語であろうとしたからだ・・・という解説には納得したが、およそ成功しているとは言い難い。(17/10/23読了 17/10/26更新)