香りを楽しむ─クレオパトラから現代アートまで 吉武利文・川上智子 丸善ライブラリー ★★★☆☆
平成4年の出版だからもう四半世紀も前の本で、とっくに絶版になっている。
前半は、香りに関する文化誌がコンパクトにまとめられている。後半はイベントでの香りの演出の話だが、前半と後半にはつながりがない。
「現代は、香りの時代だという」「ここ何年か、香りブームだと言われ続けている」というが、まだバブルの余韻に浸っていた1990年代初頭に、香りブームがあったとは知らなかった。
要は会社の宣伝なのだが、本書に出てくる香りの演出は今読んでもちっとも古臭く感じず、それどころかむしろ近未来的に感じる。当時の「香りブーム」は、結局定着しなかったということだろうか。
オフィスに煙草の煙が充満していた(香りは匂い消しの役目があった)とか、香り付きの電話ボックスがあった、という話は時代を感じさせる。ところで、東墨田のレザーノートというのは今でも健在なのだろうか?(18/05/05読了 18/06/01更新)