読書日記 2020年

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コウモリの謎 大沢啓子・大沢夕志 誠文堂新光社 ★★★★☆

見かけは子供向けっぽいが、実は情報満載。著者のコウモリ愛が伝わってくる。

「世界コウモリ紀行」が楽しい。幸せを呼ぶ、コスタリカの真っ白なコウモリ、シロヘラコウモリ(Ectophylla alba)は是非見てみたいものだ。
迫力があるのはオオコウモリだろう。日本には35種のコウモリがいるが、オオコウモリはそのうち2種、クビワオオコウモリとオガサワラオオコウモリだけである。クビワオオコウモリは南西諸島に生息し、生息地によってエラブオオコウモリ、ダイトウオオコウモリ、オイリオオコウモリ(沖縄本島とその周辺)、ヤエヤマオオコウモリの亜種に分けられる。
世界最大のコウモリは、体長約2mのフィリピンオオコウモリだ。マニラ近郊、スービック Subic の Bat Kingdom で見ることができる。スービックは、かつて世界最大の在外米軍基地があった街だ。

他に、コウモリを見ることができる観光洞窟として有名なのは、アメリカ・ニューメキシコ州のカールズバット Carlsbat 洞窟群国立公園、マレーシア・ボルネオ島のグヌン・ムル Gunung Mulu 国立公園にあるディア・ケイブ Deer Cave だろうか。どちらも世界遺産に登録されている。
また、フィリピンのミンダナオ島の中心都市・ダバオのすぐそばにサマール島 Samal という小島があり、ここには世界最多、180万匹ものコウモリが住む洞窟(モンフォート洞窟 Monfort Cave)がある。ギネスブックにも登録されているという。
コウモリは南極を除く世界中に分布しているから、コウモリ観察を旅の目的の一つにするのも楽しそうだ。この本を読まなければ、海外でコウモリを見ようなどとは思わなかっただろう。

コウモリは、都会のビルの間にも住み着いている。東京の都心でも、アブラコウモリを見ることができる。
それで、日没の頃に上野公園・不忍池に行ってみたが、よくわからなかった・・・。
今はコロナのため、コウモリ観察会も中止だし、上野動物園の小獣館も閉鎖されているのは残念だ。

著者のマニアックなコウモリ紀行は、このサイトでも読むことができる。(20/08/04読了 20/09/12更新)

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