Home > 世界中の山に登りたい! > 恵那山

テント泊と、残雪の豊富な春山という二つの目標を掲げて、T氏とともにこの山に臨んだ。
前日の夜、中津川駅からタクシーで登山口へ向かう。落石のため到る所穴だらけの予想以上の悪路を、妙ににこやかな運転手は穴を避け対向車をやり過ごしながら巧みに車を進めていった。
黒井沢の登山口は駐車場になっており、1週間前に購入したばかりのテントを試し張りするには都合のいい場所であった。
翌朝、薄曇りの中を出発する。
屏風のような長大な南アルプスの山並みを望めることもあったけれど、全般的にイマイチすっきりしない天気だった。
高度を上げるにつれいつしか斜面上に残雪が現れ、やがて完全な雪道となった。
雪道の登りは予想以上に体力を消耗する。頂上付近の避難小屋で一服したのち荷物を置いて山頂へ向った。
山頂付近には多数の祠があり、この山が信仰の対象であることを感じさせたが、頂上では霧のため視界は全く利かなかった。

恵那山山頂

下山路は、北側の神坂峠へ下りるコースを選んだ。山の北側では登ってきた道とは全く様子が異なり、腿まで埋まるほどの深雪で、夏用の軽登山靴ではチト辛いものがあった。
しかしながら、折角持ってきたゴツい8本爪アイゼンとチタン製のピッケルは、逆に牛刀をもって鶏を屠るようなものであった。
山頂で出会ったいくつかのパーティーが付けてくれたトレイルがなければ確実に道に迷うと思われた。
雪の下山路はしかし、表面を滑走してゆくことが可能であり、普段の山道とは全く違った楽しさがあった。尤も、この道を登るのは非常にシンドそうだったけれど。
大判山らしきピークにさしかかった時には若干晴れ間も見えたが、開山前に神聖な山に足を踏み入れたからだろうか、恵那山の山頂付近を覆い隠している厚い雲はどうしてもその場を離れようとしなかった。
結局最後まで恵那山の気品ある姿を拝むことはできなかった。
強清水というところまで下山すると、ここから馬籠まで歩くという説もあったが、昨日の運転手の笑顔に負けてまたもやタクシーに乗ってしまった。
中津川駅付近の素朴な銭湯で、「電気風呂」とかいう入ると感電する謎の湯に浸かったのち、下山の無事を報告するために前日に入った中華料理屋に再び立ち寄った。
こうして、風景的にはややNGだったかもしれないが、春山の雰囲気も味わうことができたし、1週間後に控えたテント泊による縦走の準備も整ったという訳である。

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