Home > 世界中の山に登りたい! > 西米良五合目登山口〜市房山(往復)
05:55 宮崎市発
07:35-07:55 かりこぼうず大橋
08:30-08:45 五合目登山口駐車場
09:15 作業道終点
09:50-10:00 八合目付近の展望台
10:45-11:45 市房山山頂
12:40 作業道終点
13:05 五合目登山口駐車場着
九州アイランドのど真ん中、宮崎と熊本の国境あたりに、人跡まばらな真空地帯が渺々と広がっている。九州中央山地という。種田山頭火が「分け入つても分け入つても青い山」と詠んだのは、この九州中央山地だった。
ここには、1400メートルから1700メートル級の山々が果てしなく連なっている。だが、「九州の屋根」という大層な別名の割には、いかにも背丈が足りない。顕著なピークはない。
市房山(いちふさやま、1721m)は、地味な九州中央山地の中では、おそらく一番ポピュラーな山である。九州中央山地の中で国見岳(1739m)次いで二番目に高く、宮崎県内では祖母山(1756m)、国見岳に次いで三番目に高い。
この山は、熊本県側から登った方が面白そうである。しかし、このミッションは宮崎県内で完結させなければならないため、宮崎県側の西米良村からアプローチすることにする。
米良荘(めらのしょう)といえば、外界から隔絶された陸の孤島として、学校で教わったことがあるような気がする。
朝6時前に家を出発。
南九州はGW明け早々に梅雨入りし、連日のように大雨に祟られたが、この日だけピンポイントで晴れた。素晴らしい。
西米良村へ向かうには、国道219号をひた走ればいい。
西都市を過ぎると、途端に雲行きが怪しくなる。道はよく整備されている。しかし、そこから西米良村までの一時間弱の間、集落らしい集落が一つも見当たらないのだ。いくつものトンネルをくぐり、いくつもの橋を渡って、ようやく西米良村に着く。かつての隔絶ぶりが偲ばれようというのものだ。
西米良村の入口には、日本最長の木造の橋、「かりこぼうず大橋」が架かる。ここで一服したのち、さらに奥深く、上米良へと向かう。
上米良からは、昔ながらの市房山への登山道がある。しかし、数年前に、五合目までの林道が舗装されたらしく、一合目から歩き始める人はほとんどいなくなってしまった。そのため、ここは無難に、五合目から歩き始めることにする。
五合目までの道路は、路上に落石が散乱していたりしたものの、まったく問題ない。
8時45分、登山開始。
この山、五合目より上にも、未舗装の作業路が登山道と交錯しながら延びている。
七合目付近に立派なトイレがあり、ここからようやく登山らしい登山が始まる。ちょっと拍子抜けだが、一合目から歩き始めたところで、あまり快適ではなさそうだ。しかもこの時期、五合目より下には蛭がいるらしい。
林道を離れて登山道に入ると、市房山の良さが分かる。頂上付近は端正な円錐形をしており、かつて信仰を集めた山であることが頷ける。
新緑が眩しい。八合目付近からは、市房山とならんで米良三山に数えられる、石堂山と天包山が指呼の間だ。彼方には、霧島と高千穂の峰のシルエットが見える。
九合目を過ぎると道は平坦になる。快適なプロムナードを歩いて行くと、山頂に着いた。
梅雨時とは思えない、奇跡のような好天だ。熊本方面は開けており、球磨川沿いに集落が広がる。そして、ここから見える九州の山々は、やっぱり低かった・・・。
あとは元来た道を引き返すだけだ。ちょっと物足りない。
七合目からの下り、間違って作業路に入り込んでしまった。ブルドーザーでグロテスクに削られた山肌が痛々しい。ここも舗装されてしまうのだろうか?宮崎は林業が盛んだから仕方ない面もあるとはいえ、もうこれ以上、林道を造らないで欲しい。
米良側から米良三山のどれかに登頂した人は、西米良村役場に行くと特製のマグカップをもらえる。
村には立派な博物館もあった。他に見学者はいなかった。
西米良村は人口1000人ほど、宮崎県で一番人口の少ない自治体だ。
道路ができれば便利になるが、結果的に人口の流出を招き、やがてコミュニティーを維持できなくなる・・・というのは、世界中あらゆるところで起きていることだ。何百年もの間、連綿と受け継がれてきたローカルな文化が、もの凄い勢いで消えていく。それが現代という時代である。