Home > 世界中の山に登りたい! > 南木曾岳

御嶽・木曾駒と並んで木曽三山の一つに数えられる南木曾岳は、名古屋から日帰り可能な、貴重な1,500メートル以上の山である。
名古屋から特急で僅か1時間で南木曾駅に着き、そこから分かりにくい道を30分ほど歩くと登山口に到着。登りは、眺望の利かない急峻な坂道が延々と続き、結構エラい。なぜか登山客は殆んどおらず、山頂付近に至るまでに出会ったのは3人と蛇1匹であった。
やっとこさ頂上に辿り着いてみると、そこは岩一枚の狭いスペースに過ぎず、空は曇っていて隣の山さえ見えなかった。中年のグループが去ると私は一人残され、静寂が訪れた。私はそこで若干微睡みながら空が晴れるのを待った。暫くすると下界が晴れてきて木曾川がきらきらと輝いていたが、目の前に大きく見えるはずの御嶽の雄姿はついに拝めなかった。
下山路は反対側に降りるコースを取った。登りと違って岩がゴロゴロし、鎖場などもあるスリリングなコースである。しかし、下山してから分かったことだが、実はこちら側が真の登山口であり多くの人は車でここまで乗り付けていたのであった。
車道に出ると「バス停まで4.2km」の表示があり俄然焦る。スタスタと歩いていると後方から来た車が親切にも乗せてくれ、しかも温泉に連れて行ってもらえるというオイシイ展開になった。これだから旅はやめられない!丁度そこにバス停もあり、車に乗せてもらって余った時間で温泉につかった。

南木曾駅へ向かうそのバスは、中山道の宿場町である妻籠(つまご)を通る。終バスまで時間があったので、ちょっと立ち寄ってみた。
なかなか気合いの入った町並みの保存ぶりであり、博物館も充実していた。博物館から出るとすっかり陽は傾いていた。周りは山ばかりであり、本陣の後ろには今登ってきた南木曾岳が聳えていた。
南木曾駅の駅前で食堂に入った。目の前には木曾川が流れ、涼しい風の吹き抜けるベランダで生ビールを飲みながら、私はすっかり旅人の気分だった。
帰りの中央線で、夕陽の残光を浴びて神々しく浮かび上がった恵那山のシルエットを眺めながら、たった一日で色々なことがあった今日の山旅に満足していた。

妻籠の町並み

妻籠宿本陣と南木曾岳

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