Home > 世界中の山に登りたい! > 日光白根山 湯元〜前白根山〜奥白根山〜金精峠

【第1日】

07:40 家出発
09:10 北千住駅発(東武線)
10:56 東武日光駅発(バス)
12:20 湯元温泉より登山開始
13:10 リフトの終点
15:00-15:05 前白根山への分岐
16:15-16:25 前白根山山頂
16:50 五色沼避難小屋

天気予報によると、週末の天気は「曇り時々雨、一時雷」とかいう冴えないなものだった。しかし梅雨入りが迫っていたので、予報が外れることを祈りつつ決行した。
東武日光駅を出発したバスがいろは坂のトンネルを抜け、中禅寺湖の湖畔を走っている頃には陽が差していた。
しかし、戦場ヶ原の荒涼とした風景を過ぎ、終点の湯元温泉に到着すると、今にも雨が降り出しそうな空模様になっていた。
湯元からの登山道が日光白根山へのメインルートだと思っていたのに、ここからこの山に向かったのは私一人だった。
運休中のリフトの下のだだっ広い斜面を登っていくと、雨がポツポツと降り出した。やがて本格的な山道が始まると、上空では雷が鳴り始め、雹まで降って来やがった。

もう6月だというのに、登山道にはまだ雪がたくさん残っていた。赤テープで印が付けられているものの、広大な雪原を横断する際に登山道を見つけるのに手間取り、予想以上に時間がかかった。
長大な坂道を登り切って尾根に取り付く頃には雨は上がっていたが、今度は風が強くなってきた。
前白根山の山頂に着いたのはもう4時過ぎだった。そこから見える奥白根山は圧倒的な威圧感をもって聳えていたけれど、強風のため長くは滞在できない。

強風の前白根山山頂

前白根山より奥白根山・五色沼

斜面を駆け下り、前方に立派な避難小屋の姿を認めたときにはほっとした。
重量感のある扉を開けると、意外にも中には誰もいなかった。ラッキー!小屋には毛布まで完備されている。お陰で、実に快適な一夜を過ごすことができた。
どうやらこの山は、菅沼辺りにマイカーを止めて、日帰りで登られることがほとんどらしい。わざわざ無人の避難小屋に一泊する物好きは余りいないようだった。
暗くなる前に晩飯を食べてしまおうと思って、ガスコンロを取り出して調理を開始する。といってもお湯を湧かすだけ。献立は、アルファ米のわかめご飯、缶詰の焼き鳥、そしてインスタントの味噌汁。食べ終わるともうすることもないので、あとは寝るだけだ。6時半就寝。

夜中の12時頃、トイレのために目が覚める。外に出てみると満天の星空だった。
しばらく夜空に見とれていると、「キュイ〜ン」という謎の音とともに閃光が走った。そちらの方へライトを照らすと、森の中にオレンジ色の光る点が二つ浮かんでいる。???。急に怖くなって小屋に逃げ込んだ。
あれは何だったのだろう?(鹿?)
人里離れた真っ暗な森の中に独りぼっちでいるという状況は、なかなか心細いものだ。

【第2日】

07:30 起床
08:10 避難小屋出発
09:20-10:20 奥白根山山頂!
11:20-11:35 阿弥陀ヶ池
11:50-12:05 五色沼
12:35-13:00 五色山山頂
13:20 国境平
13:40-13:45 金精山
14:20-14:30 金精峠
14:50 金精峠駐車場
16:12 湖畔前バス停発(バス)
17:58 東武日光駅発(東武線)

翌朝。5時半ごろ目が覚めるも、小屋の屋根を打つ雨の音にゲンナリして再び眠りに落ちる。
6時過ぎに来客があるが、私の姿を認めるとそそくさと出ていってしまった。
7時半、賑やかな集団が近づいてきたので流石に起きることにした。実に13時間も眠ってしまった…。
雨は上がったようである。コーヒーを湧かして朝食を取り、出発。雪の斜面の上空には、青空が広がっている!

避難小屋より奥白根山

そこから山頂までの道のりも容易ではなかった。登山道はほとんど雪に覆われているが、地面が島状に露出しているため、至る所でトレースは分断され樹林帯の中を錯綜していた。
森林限界を過ぎると雪はなくなった。振り返ると、思いがけず男体山を背にした中禅寺湖が見えた。ところが、すぐに雲がモクモクと湧き上がってきてその風景は幻と消えてしまった。
そこから山頂まではすぐのように思えたが、ダミーのピークに二度だまされた。噴火口を横切ってやっと真のピークに到達したときには、周囲は何も見えなくなっていた。

半ば諦めの境地でしばらく山頂にとどまっていたが、やがて青空が覗いたかと思うと、嘘のように霧が晴れてきた。男体山と女峰山の頂上付近にかかった厚い雲は遂に消えることはなかったが、中禅寺湖や、錫ヶ岳の向こうに聳える皇海山が見えてきた。そして、雪を頂いた、会津駒ヶ岳・燧ヶ岳・至仏山といった未踏の峰々までもがその姿を現したのだ。天気の回復に合わせて大勢の登山者が到着し、山頂は大賑わいとなった。

奥白根山山頂より五色沼

中禅寺湖と雲に覆われた男体山

錫ヶ岳(手前右)と皇海山(遠方)

弥陀ヶ池・菅沼・丸沼(右から)、会津駒・燧・至仏(遠方右から)

会津駒・燧・至仏を眺めつつ、弥陀ヶ池方面に下山を開始する。ガラガラの急斜面を降りていくと、やがて弥陀ヶ池に着いた。

弥陀ヶ池

このあと直接五色山に登ればよかったのだが、欲を出して五色沼に立ち寄ることにした。しかし、五色沼へと下る道がまたクセモノで、雪と格闘しながら急斜面を下ってやっと湖畔へたどり着く。
そのあとは五色山への直登が控えている。登り切ってみると、山頂の周囲は低木で被われ展望は芳しくなく、そこから見る奥白根はイマイチだった。昨夜の無人小屋が豆粒のように見えた。

さぁ、あとは下山するだけだ。とはいえ、ここからの下りもそんなに甘くはない。道は完全に雪で覆われていたが、先行者のトレースがはっきりしていたのでそれに従った。
13時20分、国境平到着。ここから湯元温泉に下ろうと思っていたが、目の前には踏み跡のない広大な雪原が無情に広がっているのだけだった。
この長大な尾根道を単独で下りきれる自信がなかったし、おまけに雨まで降ってきたので、先行者に従って金精山へ向かうことにした。この道もかなりの悪路で、崖をトラバースする細い道に雪がかぶさっていて少々ビビった。
14時20分、金精峠に到着。ここはもう観光客のテリトリーである。ここからは湯の湖が大きく見えたが、背後に聳える男体山は相変わらず雲の向こうだった。

金精峠の駐車場に到着した。ここを通るバスはないので、写真撮影に来ていた親切な人に湯元温泉まで乗せてもらう。感謝。
「湖畔前」というバス停で降ろしてもらうと、ちょうど目の前に「湯の家」という温泉施設があった。いかにも神経痛に効きそうな、茶色く濁ったお湯だった。
日光は、山あり湖あり温泉あり世界遺産ありの、実に綺麗なところだと思った。(05/07/03)

Copyright 2015 Yoshihito Niimura All Rights Reserved.