Home > 世界中の山に登りたい! > 霊仙山

霊仙(りょうぜん)は、鈴鹿山脈の北端に位置し、東海道の隘路を挟んで伊吹山と対峙している。関ヶ原の隣、JR柏原駅が登山口となっており、名古屋からのアプローチは極めて良い。

前日「大雨洪水強風波浪雷注意報」が発令されたので実現が危ぶまれたが、当日はカラリと晴れていた。
午前10時、柏原駅をスタート。相変わらず遅いスタートである。
1合目に到着するまでに1時間以上かかった。本格的な山道に入るとペースを取り戻し、ウグイスの囀りに春の訪れを感じながら順調に高度を稼ぐ。
やがて、お椀を伏せたようなこんもりとしたピークが見えて俄然元気がでるが、それはダミーであった。更にニセのピークが2つあり、その度にがっかりさせられる(そのうち一つには経塚山もしくは北霊山という名前が付いている)。
漸く1084mの頂上に着いたのは2時頃であった。私の到着と入れ違いに30人ほどのウザい中高年集団が去ってくれたので、山頂は静かになった。
疲労が恢復したのち改めて周囲の景色を眺める。眺望は頗るよろしい。まず正面には、あと1週間もあれば消え去ろうかという程度の雪を山頂付近に頂いた伊吹山が大きく腰を据え、その右側にチラリと能郷白山、その隣にはホントに真っ白な白山連峰が聳えている。左側には、竹生島を浮かべた入り江のような琵琶湖と、その周囲を取りまく近江のまち、対岸には比良の山々のシルエット。伊吹の反対側に目を転ずれば、あくまでも控えめな、しかし重畳とした鈴鹿の山並み…。

これが霊仙山

山頂より1:伊吹山・能郷白山・白山

山頂より2:琵琶湖

これらの眺望を一人で恣にしていたが、ケータイのアンテナが3本立っていることに気付き下界との交信を試みると、楽勝で通じることが判明した。調子に乗って喋りすぎてしまい、下山を開始したのは陽も傾き始めた3時過ぎだった。
お椀型の山頂から下山する際になぜかいきなり背丈ほどもあるクマザサのジャングルに迷い込み、脱出は困難をきわめた。下山路は、敢えて醒ヶ井方面へ下る川沿いのコースを選択する。大いに予想されたことだが、昨夜の大雨でひどく増水していて、道と川の区別がつかなくなっておりしばしば徒渉を余儀なくされた。
何とか日没前に林道に辿り着き、テクテクと歩いてゆくとやがて上丹生という素朴な集落が現れた。
思うに、山の良さは里にもある。「さっきそこの川で獲れた」というマスをさばいて家の前を流れる水で洗っているおばちゃんや、ボランティアで霊仙に案内板を立てているという集落に唯一ある商店のご主人に会った。

霊仙は、標高こそ低いものの結構なボリュームがあるし、山頂からの眺めは申し分なく、麓の里もしっとりと落ちついていてなかなかの名山であった。

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