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【第0日】

15:00 新宿駅発(中央本線)
17:55 茅野駅発(バス)

半年間にわたる単身赴任生活の最後に、もう一度初級クラスの冬山に挑戦することにした。
蓼科山の冬は、登山口までのバスの便が運休になり、山小屋も閉鎖される。従って、この山を積雪期に攻略する場合、大抵は登山口である女神茶屋までマイカーで乗り付けて、そこから日帰りで山頂を往復するという方法がとられる。しかし、そんな疲れることをしても楽しくないし、だいいち車がない。
そこで、土曜日のうちにできるだけ麓の近くまで移動しておいて、翌朝タクシーで登山口に向かうことにした。
新宿駅を3時に出発する特急あずさに乗れば、茅野駅から白樺湖行きの最終バスに間に合う。終点の西白樺湖バス停で降り、凍った雪道を歩いて白樺湖ユースホステルへ行く。
8人部屋に2人だけだったので広々としていた。

【第1日】

07:30 白樺湖ユースホステル発(タクシー)
07:50 女神茶屋登山口
10:40-11:40 蓼科山山頂!
11:55-12:05 将軍平(蓼科山荘)
13:30-14:05 天祥寺原分岐
14:55 車道(竜源橋)
17:03 蓼科温泉プール平バス停発(バス)
17:54 茅野駅発(中央本線)

翌朝6時半に起床。ゆっくり朝食を食べてから、タクシーで女神茶屋の登山口へ向かう。
早速、アイゼンとスパッツを付けて歩き出す。流石に登山道はよく踏み固められている。
雲一つない快晴。空の青さと雪の白さのコントラストが美しい。
少し高度を稼いで振り返ると、ボコボコした八ヶ岳が朝日を浴びて輝いている。
デジタル一眼レフカメラ、Nikon D70の活躍するときがやって来た!一眼レフは巨大なので、コンパクトカメラのようにポケットに収まらない。ザックを下ろし、カメラバックからカメラを取り出して、キャップを外してシャッターを押すという一連の動作を毎回繰り返さなければならない。
しかし、美しい風景に出会ったら、面倒臭がらずにすぐに写真を撮るべきである。頂上でも同じ風景が見えるはず、などと思っていても、光線の具合で風景はガラリと変わってしまうのだ。とはいえ、足場が悪くてザックを下ろせない場所もあるので、コンパクト・デジタルカメラも併用するのがいいのかもしれない。

ディープ・ブルー

樹氷

朝の八ヶ岳

こうして写真を撮りつつタラタラと歩いて、最初の休憩を取ったときには既に2時間近くも経過していた。
やがて森林限界を越えると、足元がガラガラの岩場になる。若干スリリングだが危険な箇所はない。そこから山頂まではもうすぐである。

山頂は、草野球ができそうなほど広い。素手でシャッターを押しているとすぐに手が痛くなるが、しかし寒さ、風ともにそれほどでもない。これほどの好天も珍しいだろう。
山頂には、私と、2人組のパーティー、そしてLさん(後述)のみ。北西面には方向指示盤があって、見事なエビの尻尾が付いている。
山頂からは、八ヶ岳に続く南アルプスと中央アルプス、そして霧ヶ峰と美ヶ原の向こうに御嶽・乗鞍・北アルプスの山々が望まれる。北アルプスの山並みは雲の向こうに隠れていて、辛うじて槍・穂高を結ぶ大キレットが見えた。北東側の浅間山も大きいが、やはり雲がかかっている。奥秩父・大菩薩・奥多摩・富士山などの馴染み深い山々は、八ヶ岳の背後にあってここからは見えない。

登頂成功!

広〜い山頂

山頂より

エビの尻尾

南アルプス

中央アルプス

東側の展望(霧ヶ峰・美ヶ原・御嶽・乗鞍・北アルプス)

帰りは、素直に来た道を引き返す予定だった。しかしなぜか、山頂で偶然会った単独行のLさんと一緒に、ラッセルをしながら将軍平方面へ下山することになった。
山頂から蓼科山荘のある将軍平まで、急な雪面を一気に駆け下りる。ここで道は3つに分岐しているが、天祥寺原方面への道には全くトレースが付いていない。このルートは今シーズンは誰も入っていないようで、たまに鹿の足跡があるのみだ。
誰も歩いていないところにトレースを付けていくのは実に爽快である。ラッセルといっても雪は膝あたりまでだし、下りなので、それほど重労働ではない。とはいえ、倒木の上に雪が積もって自然の落とし穴ができていて、時々腿まですっぽりと埋まってしまう。
こうして雪と格闘しながら下っていくと、やがて前方にスキーのトレースを発見した。ここが天祥寺原の分岐で、大河原峠〜竜源橋間はクロスカントリー・スキーによって歩かれているようだ。ここから先、車道まではもうひと歩きだ。

天祥寺原より蓼科山

車道に着いた。ここでLさんと別れ、私はヒッチ・ハイクで、バスの走っている親湯温泉のあたりまで乗せてもらった。
そこからもう少し歩いていくと、蓼科温泉プール平というバス停の近くに公共の温泉浴場を発見。冬山の後の温泉は格別である。次のバスまで1時間半、のんびりと温泉に浸かった。

行く前はかなりビビっていたが、厳冬期の蓼科は、思ったほど困難な山ではなかった。
しかし、これほどの好天に恵まれることはそうないだろう。冬山の危険と困難は天候次第なので、常に最悪のケースを想定しておくべきであることは言うまでもない。(05/03/06)

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