読書日記 2008年

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看護 ベッドサイドの光景 増田れい子 岩波新書 ★★★☆☆

入院して身体が弱っているときには、看護婦さんの優しさが心に沁みるものである。世間では、看護師というのは医師よりも一段低く見られ、その仕事は医師の手伝いとしか認識されていない。しかし、末期がんやエイズといったターミナルケアにおいては、医療は効果を失い、看護こそが主役となる。実は、看護とは西洋医学よりももっと普遍的な世界なのかもしれない。

本書に登場するのは婦長クラスのベテラン看護婦さんばかりで、みなさん大変にアツい。それはいいのだが、ここに描き出されている医療の現場にはどうもリアリティがない。著者の自己陶酔というか、イデオロギー的な胡散臭さを感じてしまうのだが、それは穿ちすぎだろうか。
実は、著者は住井すゑの娘である。本書の出版は10年以上も前なのだが、医療崩壊の進行した現在の看護の状況について知りたい。(08/03/04 読了)

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