読書日記 2008年

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フューチャリスト宣言 梅田望夫・茂木健一郎 ちくま新書 ★★★☆☆

未来に絶望するよりも、希望を抱く方が、今日をよりよく生きることができる、というのはその通りだろう。そうは言っても、自分の心を偽ることはできない。インターネットの清も濁も知り尽くしいているはずの二人が、ここまでネット社会を礼賛できるのは実に不可解である。一日に何百人分ものブログに目を通して、強迫的に情報にしがみついていなければならないことの意味が分からない。また、無邪気にさえ聞こえる手放しのアメリカ礼賛も同意しかねる。おそらく、多くの日本人は共感しないのではないだろうか。

インターネットは、必要な情報をピンポイントで得るためには良いが、体系的な知識は決して得られないと思う。子供にインターネットを使わせることが良いことなのかどうか、有害サイトの問題だけでなく、情報へのアクセスが安易すぎることに対する危機感のようなものを感じる。

しかし、茂木健一郎という人は、確かに凄い人だと思う。なかなか示唆に富むことを言っている。「たくさんの分野に興味があって、関係性に興味がある、俯瞰してものを見て全体の構造をはっきりさせたいという志向がある人は、これからの時代に有利になってくる」「現代は、アインシュタインのように鋭利な理論で切っていくのではなくて、ダーウィンのように俯瞰する時代だ」というのには、大いに納得した。(08/05/23 読了)

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