読書日記 2010年

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医薬品クライシス 佐藤健太郎 新潮新書 ★★★★☆

薬を飲むと病気が治るという事実は、実は驚くべきことである。新しい薬を開発し、それを世に出すためには、二重三重の高いハードルをクリアしなければならない。そのためには巨大資本が必要であり、自前で医薬品を創り出すことができるのは、日米欧の十に満たない国だけである。

ここ二、三十年の間に医療技術は急速に進歩し、ゲノム情報の活用によって今後も夢の新薬が次々と生まれる──と思いきや、ここ数年、世界中で新薬の産声がぱったりと聞かれなくなってしまったという。小分子はあらかた調べ尽くされてしまい、創薬はもはや人類の手の届かないところまで行ってしまったかのようだ。メガファーマは、ブロックバスターと呼ばれる大型医薬品が2010年前後に一斉に特許切れを起こす、「2010年問題」に直面する──。
創薬という特異なビジネスの現状を知る上で、大いに勉強になった。(10/03/13読了)

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