読書日記 2010年

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編集者の仕事 柴田光滋 新潮新書 ★★★☆☆

本は、情報である以前にモノである。本は、パラパラめくってこそ本なのだ。電子書籍は情報検索には便利かもしれないが、そこから読書の満足感は決して得られないように思う。
モノとしての本、ということで言えば、日本の本は外国に比べて圧倒的に綺麗で、ここにもモノ作りの職人的でディープな世界が広がっていることが窺われる。

編集者というのは、矢の催促で作家から原稿を取り立てるのが仕事だと思っていたが、実際には、原稿を手にしてから仕事が始まる。とはいえ、今では原稿も電子化されているし、コンピュータの出現によって出版業界の仕事は随分変わったと思う。活版印刷の頃は、一つ一つの活字を手作業で拾っていたのだから、その労力は想像を絶するものがある。それは編集者というより印刷所の仕事だが。

なるほど、新潮新書は他の新書に比べて活字が大きく、余白も多い。確かに読みやすい。だが、読み易すぎて視線が上滑りし、薄っぺらな印象を受けるので、私は好きではない。新聞の活字だって昔はもっと小さかったし、最近はあらゆる活字が大きくなる傾向にあるので、これも時代の趨勢なのかもしれないが。(10/11/02読了)

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