読書日記 2014年

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秘密と友情 春日武彦・穂村弘 新潮文庫 ★★☆☆☆

穂村弘という歌人の名は、昔『短歌パラダイス』という本を読んだときに知った。その五十男の歌人と、六十男の精神科医の対談集なのだが、「世間をソツなく生きていくにはいまひとつ不器用で、地に足が着いておらず、常に自分の生きている世界に対して違和感や居心地の悪さを覚えていて」って、ただの厨二病なんじゃ・・・。いや、誰もがかつてそういう時期を経てきたのかもしれないが、歌人というものは(あるいは精神科医も)、大人になってもそうであり続けることができる稀有な職業なのかもしれない。

さすがに歌人の紡ぎ出す言葉というのは、それが何気なく発せられたとしても、取り合わせが絶妙だと思った。しかし、肝心の対談の内容にはほとんど共感を覚えず、読んでいて希望が湧いてくるわけでもない。コアなファンにとっては面白いのかもしれないが、楽屋オチというか、企画自体が失敗しているような・・・。一番印象に残ったのは、内容とは関係のない

白梅に刃物の香ありけだものの猫やわらかくその下を過ぐ

という小島ゆかりの歌だった。お二人ともエッセイなどを多数執筆されているようなので、読んでみようと思った。(14/11/07読了 14/11/12更新)

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