読書日記 2021年

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犬のココロを読む 菊水健史・永澤美保 岩波科学ライブラリー ★★★☆☆

イヌの認知科学についての本。犬好きの人が、イヌの行動実験をするのは楽しいだろうなと思う。
ヒトの視線を「読む」ことができるのはイヌだけだという。指さしや視線の先の物を見て飼い主の意図を理解したり、飼い主の目と視線の先の物を交互に見たりする芸当ができるのはイヌだけである。
また、ヒトのように白目と黒目のコントラストがはっきりしているのはイヌとオオカミだけだという。このような解剖学的な構造と、「視線を読む」という認知的な能力はどう関連してるのだろうか。
しかし、イヌの認知能力は必ずしも高いわけではない。鏡に映った姿を自分だと認識できる「自己認知能力」は、チンパンジー・アカゲザルなどの霊長類、イルカ、ゾウにはあるが、イヌやネコにはない。

顔の表情は左右差があり、左側のほうがより感情が伝わるというのは面白い。ただし、イヌでは逆になるそうだ。
イヌは日本語ではワンワンと鳴くが、英語での吠え声は bow wow の他に woof もある。
また、イヌの唸り声を表す英語は snarl, growl, moan と3種類あるというのも知らなかった。

とても残念なのは、多数の論文の内容について説明しているのに、引用文献が付いていないことだ。
それと、縦書きの本文と横向きのコラムが入り混じっているのは読みにくい。

P. 79: ギンギツネの交配実験を始めたのは、トルートではなくベリャーエフ(Belyaev)。(21/02/13読了 21/02/22更新)

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