オスとメス = 進化の不思議 ★★☆☆☆ 長谷川眞理子 ちくま文庫
1993年に出版された、同じタイトルの講談社現代新書の改訂版。
性淘汰と配偶者選択の話がメイン。いろんな生物が出てくるので学術的価値は高いはずなのに、なぜか読んでいてワクワクしなかった。
個人的には、遺伝的メカニズムに言及することなしには、理解できた気がしない。
最後の数章では、ヒトの配偶者選択について触れている。
この手の話題はフェミニズム的な議論に陥りがちなので警戒しながら読んだが、至極真っ当なことが書かれていた。私たちは、科学的な事実からいかなる教訓をも引き出してはならないのだ。
しかし本書は、「自然主義の誤謬」について熱弁しておきながら、最後に説教じみたことを書き連ねるという誤謬を犯してしまっている。これぞ蛇足というものだろう。(25/06/10読了 25/06/12更新)