1997年

(★〜★★★はお薦め度

「二重らせん」 J.D.Watson 講談社文庫 ★★★★
     この本に出会えて良かった、と思えるような名著である。今からもう半世紀近くも昔の物語。('97.12.5)
「科学の終焉」 J.Horgan 徳間書店 ★★
     うーん。現代科学界のパラダイム・メーカーがことごとく登場する点は面白いが、読んでいて憂鬱になった。('97.11.25)
「青春を山に賭けて」 植村直己 文春文庫 ★★★☆
     題名はクサいが、この本は純粋に楽しいのでお薦めである。日本百名山もいいけど、世界の山となるとやはりスケールが違う。キリマンジャロ(5895m)は実は誰でも登れるらしいので、俺もそのうち挑戦しよっと。('97.11.18)
「中くらいの妻〜93年版ベスト・エッセイ集〜」 日本エッセイスト・クラブ編 文春文庫 ★★☆
     ほんの数ページの中に、こんなにも印象に残る豊かな情緒を込められる文章の力は素晴らしいと思う。どの文章も磨き抜かれていて、流れがとても滑らかである。('97.11.6)
「遥かなるケンブリッジ」 藤原正彦 新潮文庫 ★★☆
     筆者はお茶大数学科教授にしてエッセイスト。こういう、エッセイになるような豊かな人生を生きたいものだ。文章は数学的表現と文学的表現が入り混じっていて非常に面白い。('97.10.23)
「マディソン郡の橋」 R.J.Waller 文春文庫 ★☆
     文庫版が出たので読んでみた。この本はできるだけ忙しい時に読むのがいいと思う。"涙なくしては読めない不朽のベストセラー"というに値するのかは些か疑問だが、"瘡蓋だらけの感受性の殻に閉じこもって暮らしている"ときには確かに心を癒してくれる効果はあるのかも知れない。('97.10.15)
「からだの設計図」 岡田節人 岩波新書 ★★
     私にとって現代生物学の最後の牙城であり、biologyが本当に生物だけを扱う学問であった旧き良き時代の香り漂う"発生・分化"についてのまことに分かりやすく面白い解説書。('97.9.29)
「生物進化を考える」 木村資生 岩波新書 ★★
     些か教科書的で、あまり一般的とは言えないが、この本を読んでやっと中立説の有難さが分かった。最後の一章の、優生に関するくだりは時節柄かなりヤバいような気が・・・。
「日本百名山」 深田久弥 新潮文庫 ★★★
     一つ一つの山の位置を地図で確認しながら読み進めていく作業は楽しいものだった。日本が山国であることを改めて思い出させてくれる。
「ダーウィン以来」 S.J.Gould ハヤカワ文庫 ★★☆
     グールドの進化論に関するエッセー第一弾。なかなか密度が濃く、ボリュームがある。
「自然学の提唱」 今西錦司 講談社学術文庫 ★★
     今西進化論の是非はともかく、研究室に篭っていて自然から最も遠いところにいる自然科学者を自称する人々に贈る書。
「もの食う人々」 辺見庸 角川文庫 ★★★
     結構衝撃的である。あんまり纏まりがないような気もするが、それがつまり現在の「世界」というものか。
「やさしさの精神病理」 大平健 岩波新書 ★★☆
     「やさしさ」は平成のキーワードだと思う。それにしても、精神科医は面白い!一瞬で読める。
「ノルウェイの森」 村上春樹 講談社文庫 ★★☆
     たまにこういう小説を読むと、一種の懐かしさを覚えてしまう。やはり人間もっと退廃的に生きねばなりませんね。
「サル学の現在(上)(下)」 立花隆 文春文庫 ★★★☆
     この本を読んで暫くサルにはまった。
「竜馬が行く(一)〜(八)」 司馬遼太郎 文春文庫 ★★★★
     この本は面白すぎて、仕事が進まなくなるので注意。私は41日間で読破した。
「街道を行く38 オホーツク街道」 司馬遼太郎 朝日文庫 ★★☆
     北方少数民族には限りない憧憬を感じてしまう。
「清貧の思想」 中野孝次 朝日文庫 ★★★
     バブルの頃ベスト・セラーになった本。グロテスクな、日本型消費社会に対する警告の書。
「ソフィーの世界」 J.Gaarder NHK出版 ★★★★
     言わずと知れたベストセラー。


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