読書日記 2008年

Home > 読書日記 > 2008年

昭和天皇 原武史 岩波新書 ★★★★☆

これまた大変に興味深い。さすがは岩波新書というべきか。
本書の描く天皇制は、比喩ではなく、宗教である。天皇は「お濠の内側」の宮中三殿で、年に何度も宮中祭祀を執り行い、皇祖皇宗に向かって祈りを捧げている。GHQも皇居にはいっさい手つけなかった。「統治権の総攬者」とされた戦前の天皇と、「国民統合の象徴」とされた戦後の天皇との間には、実はむしろ連続する面が多いという。
また、本書によれば、昭和天皇が戦争を終結させようとした究極の目的は、(国民の生命を救うためではなく)皇祖神アマテラスから受け継がれてきた「三種の神器」を護持することにあったという。
それにしても、この手の問題はあまりにも巨大すぎて、茫漠たる思いがする。(08/02/10 読了)

前へ   読書日記 2008年   次へ

Copyright 2008 Yoshihito Niimura All Rights Reserved.