読書日記 2008年

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遺伝子・脳・言語 堀田凱樹・酒井邦嘉 中公新書 ★★★☆☆

大学生の時、堀田先生の授業を受けたが、あの名講義がありありと浮かんでくるようだった。カフェ・デ・サイエンスでの議論を再現したものなので、必然的に、書物としての密度はやや薄い。

手話の話が非常に興味深かった。手話が自然言語だとすれば、言語の進化を考える上で、発話のための喉頭の発達は必須ではなくなる。音声言語よりも先に手話があった、という可能性は検討に値する。ネアンデルタール人は手話で会話していたのだろうか?チンパンジーに言葉を教える試みがあるが、手話を第一言語とする人が子供のチンパンジーに手話を教え込めば、チンパンジーはもっとうまくヒトの言語を習得するかもしれない。また、言語の遺伝子を探索するために、手話が異常になるような人を調べればよいという指摘は面白い。

言語が違えば文化も違うので、聾者のコミュニティーは聴者にとっては異文化世界である。聾の赤ちゃんが手話を獲得するプロセスとか、手話にも敬語があるとか、テレビの手話は自然言語としての日本手話とは異なるとか、面白いネタがたくさんあった。手話を第一言語とする人が、聴者と筆談でコミュニケーションする話が出てくるが、生まれつき全く耳の聞こえない人は、どのようにして表記のみに頼って日本語を(第二言語として)習得するのだろうか。

第5部、第6部は少し物足りない。(08/05/31 読了)

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