「心の傷」は言ったもん勝ち 中島聡 新潮新書 ★★★☆☆
細かい点には目をつぶるとして、基本的には激しく同意。よくぞ言ってくれたと思う。
軽症なのにすぐに精神科にかかる患者たち、セクハラという名の冤罪、理不尽な医療訴訟。これらには、「被害者帝国主義」という共通の構造が存在する。著者の指摘する通り、「相手がセクハラと感じたらセクハラ」というのは、実に滅茶苦茶な論理である。
ついでに言えば、「女性専用車両」というものの存在が憲法上なぜ許されるのか、全くもって謎である。
そして、現状に対する処方箋の一つとして、精神力を鍛えよ、というのもその通りだと思う。
ただし、議論が荒いので、容易にツッコミを誘発しうると思われる。
結局これは、アメリカにおけるAffirmative action(黒人に対する優遇措置)や、「同和利権」と同じ問題なのだろう。今までがひどすぎたので、その状況を変えるために戦ってきた人たちがいるけれども、その果実に群がって甘い汁を吸おうとする連中はずっと沢山いると言うことだ。(09/01/20 読了)