読書日記 2009年

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五十歳からの挑戦 アルプス4000m峰36座登頂 内田陽一 東京新聞出版局 ★★★☆☆

冴えな〜い感じ(といっては失礼ですが・・・)のオジサンが、題名の通りヨーロッパアルプス4000m峰36座に登頂した話。
基本的に自慢話なので、読み物としてはお薦めできない。しかし、現在入手可能なアルプス登山(ハイキングではない)のためのガイドブックは、日本にはこれ以外に存在しない。従って、アルプス登山を目論んでいる私にとっては、本書は非常に参考になった。
どこにどんな山があるのか、広大なアルプス山脈の概略を頭に入れることができたし、今の自分にできることとできないことが具体的に分かった。

アルプスには、(数え方にもよるが)4000m峰は65座ほどもあるらしい。
そのうちの大部分は、最高峰モン・ブラン(Mont Blanc, 4810m)やグランド・ジョラス(Grandes Jorasses, 4208m)を擁するモンブラン山群(起点はシャモニ)、マッターホルン(Matterhorn, 4478m)、モンテ・ローザ(Monte Rosa, 4634m)を擁するヴァリス山群(起点はツェルマット)、そして、ユングフラウ(Jungfrau, 4158m)、メンヒ(Mönch, 4107m)を擁するベルナー・オーバーラント山群(起点はインターラーケン)の3ヶ所に集中している。それ以外には、東にピッツ・ベルニナ(Piz Bernina, 4049m)、南にグラン・パラディーソ(Gran Paradiso, 4061m)とバール・デ・ゼクラン(Barre des Écrins, 4102m)がそれぞれ孤立して存在する。
4000m峰のうち、登頂が一番容易なのはブライトホルン(Breithorn, 4164m)、次いでアラリンホルン(Allalinhorn, 4027m)である。ブライトホルンは、私でもソロで登れそうだが、モン・ブランはガイド付きでもまだ時期尚早だろう。

著者はほとんどガイド付きで登っているので、凄いのはガイドの方である。高いカネを払ってガイドに引っ張り上げてもらうのでは、金持ちの道楽との謗りを免れないであろう。本当は、ソロで登れるだけの実力を付けてから挑戦するべきだ、と思う。
もちろん、ガイド登山とはいえ、かなりの体力と岩登りの技術を必要とするし、ソロではヒドゥン・クレヴァスに転落する危険もある。自分も50歳になって、人生の残り時間のカウントダウンが始まってみれば、やはり同じようなことをするかもしれない。(09/05/29 読了)

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