読書日記 2009年

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打たれ強くなるための読書術 東郷雄二 ちくま新書 ★★☆☆☆

題名に惹かれて買った。私は、読書をするのはまさに「打たれ強くなる」ためであると思っている。すなわち、様々な人生を追体験することによって、我が身に起こった不幸の小ささを知ることができるのである。

ところが、この本の趣旨はそういうことではなく、「知的に」打たれ強くなるための方法論であった。そこがまず第一の期待外れ。
しかも、いまひとつスタンス(立ち位置)がはっきりしない。「大人のための能動的な知的読書」を標榜していて、その点は賛成する。しかし、後半の技術論の部分は、汎用性がないし、ありきたりだと思った。大学生がレポートを書く場合を想定しているのかもしれないが、それ以外の人にはほとんど意味がないだろう。ここにも、梅棹忠夫の『知的生産の技術』という時代錯誤な本が登場する。

ところで、「本の大事なところはだいたい最初から三分の一までに書いてある」というのは、暴論のようだが、正しいのかもしれない。確かに、最初の三分の一がつまらなくて、それ以降劇的に面白くなる、という本はない。(この法則は本書にも当てはまる。)
まぁ、一日に300冊も新刊書が出ているというのに、毎日のように本を読む人は今や絶滅危惧種であり、読書文化の衰退はまことに由々しき事態である、というのは確かだ。(09/06/24 読了)

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