読書日記 2009年

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イルカ 村山司 中公新書 ★★★☆☆

イルカの嗅覚について調べるために本書を購入した。しかし、この本の面白いところは、イルカやクジラの生理学・生態学だけでなく、民族学にも紙面を割いている点である。
クジラ類を表すcetaceanは、ギリシャ神話に登場する海の怪物ケトスΚῆτοςに由来している。ケトスは、生け贄となったアンドロメダ姫を食べようとしてペルセウスに退治されるという役回りである。それに対し、イルカを表すdolphinは、「デルフォイの神託」で知られる聖地デルフォイΔελφοιと関連があり、海神ポセイドンの忠臣である。クジラもイルカも、星座として天に祀られているのが面白い。
また、アイヌを含む北方民族や北米先住民族の間では、共通してシャチに対する信仰があるという。アイヌの海の神、レプンカムイはシャチを指している。(09/10/01 読了)

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