読書日記 2010年

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葬式は、要らない 島田裕巳 幻冬舎新書 ★★★★☆

身内の葬儀を経験して、果たして故人は、このような葬式を望んでいただろうか、と思った。特に疑問を感じたのが「戒名」という奇妙なシステムである。○○院○○○○大姉(または、居士)。この6個の○の中に入れる漢字を決めることに100万円を払う価値があるとは、到底思えない。──実際のところ、そんな素朴な疑問は、至極真っ当なものだった。本書は、そう思う人が理論武装するための、目からウロコの本である。

この程度のものならば、自分でも考えられるではないか?その通り。なぜなら、戒名の付け方に決まりなんかないのだ。戒名は、仏教の教えとは無関係なのである。僧侶は、戒名の付け方マニュアルに従っているだけであり、なんと戒名を付けるためのパソコンソフトまであるという。こんなものに、なんの有り難みもない。(そもそも、酒を飲み妻帯し、破戒の道をたどる日本の坊さんに、「戒名」を授ける資格はない。)

「葬式仏教」と揶揄される通り、日本の仏教界は、堕落し切っている。世の中にこれだけ苦しんでいる人がいるのに、それを救う力になれない現代日本の仏教は、宗教として無力である。現代日本において、高額な戒名料を取らない限りお寺の経営が成り立たないとしても、世俗にまみれた幾多のナマクラ坊主を養っておく必要なんかないのだ。もちろん、尊敬に値する高僧もいるだろうが。

葬式は、結婚式と同じで、社会的なイベントである。だから、本人の希望によらず、葬式は「要らない」とまでは言い切れないかもしれない。しかし少なくとも、既存の宗教抜きでやることはできる。個人的には、墓は要らないと思っている。(10/05/11読了)

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