香り分子で生物学を旅する 大瀧丈二 フレグランスジャーナル社 ★☆☆☆☆
嗅覚受容体は、1991年にLinda BuckとRichard Axelによって発見されたが、その時点では機能解析がなされていなかったので、嗅覚受容体「らしきもの」に過ぎなかった。それが確かに嗅覚受容体としての機能をもつ(匂い分子によって活性化される)ことを証明したのが、1998年のScienceの論文で、筆者はその論文のthird authorである。
本書は、嗅覚とは関係のない話題が多すぎるし、その脱線の部分が全く面白くない。我慢して読み続けると、最後に、巷で話題になっている悪名高きエセ科学、「ホメオパシー医療」の宣伝が出てきてビックリする。著者は、「松本丈二」の名で同じ出版社からホメオパシー医療についての本を出しているようだ。とても科学者とは思えない。(10/08/11読了)