読書日記 2011年

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昆虫ー驚異の微小脳 水波誠 中公新書 ★★★☆☆

昆虫は、地球上で最も繁栄した動物群である。その繁栄の秘密は、彼らの小さな脳(微小脳)にある。本書は、新書ながら、昆虫の神経科学についての知見を網羅した教科書的な本である。

とても勉強になったが、厳密性を追求するあまり、決して読み易いとはいえないのが残念だ。一般向けの読み物というよりはむしろ、専門家を対象とした巨大な総説である。執筆には相当の労力を費やしたと思われる。(実際、5年もかかったらしい。)航海中の船は、幾度も難破しかかった。

大気によって散乱された太陽光が偏光していることは、知らなかった。レイリー散乱によるものである(空が青く、夕焼けが赤い理由)。ハチやアリの複眼は、偏光方向を検出する能力がある。偏光が最大である方向と、波長の長短の情報から太陽の位置を割り出し、その情報を使って正確に帰巣することができるのだ。

ハチやアリのもつ偏光検出器は、様々な向きに配置された偏光板のようなものである。一体、いかなる分子的メカニズムによって、レチナールの向きを揃えて光受容体を発現させることが可能なのだろうか?(11/07/14読了)

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