この世の全部を敵に回して 白石一文 小学館文庫 ★★☆☆☆
物書きである「僕」に言わせればツッコミどころ満載の、自殺した友人による手記という形式をとったメタ的な小説。「私は子供たちのことも妻のことも愛してはいない」「ほんとうに人間は癌のような存在だ」という不穏な始まり方をするが、著者の主張は最後の数ページに凝縮されている。言いたいことは分からなくもないが、読み終わってもモヤモヤしたものが残る。「白石文学の最高到達点」とまで書かれている割には、今ひとつ心に響かなかった。(12/04/12読了 13/02/10更新)