職業としてのAV女優 中村淳彦 幻冬舎新書 ★★★☆☆
現在、AV女優は、完全に供給過剰であるという。2000年頃までは、AV女優という職業は、貧しい女性の最後のセーフティネットとして機能していた。今日では自ら志願してくる女性が圧倒的に多いというが、実際にAV女優になれるのは志願者の14%程度に過ぎない。作品の主役になれる「企画単体」に到っては、倍率25倍という狭き門である。その反面、インターネットの普及によりAVは売れなくなり、AV業界は未曾有の大不況にある。そのため、AV女優の労働量は増えたのに、収入は減っている。
志願者が増えたのは、モデルプロダクションが健全化し、労働環境が整備されたことが大きい。また、AV女優という職業が世間的にも認知され、後ろめたさや恥ずかしさが希薄になったこともある。しかしそれでも、AV撮影は法的にはグレーゾーンであり、モデルプロダクションの運営はアウトローが行っている。そして、明らかに暴行事件と呼べるような危険な撮影も依然として行われているという。実に暗澹とした気分にさせられる。(12/08/13読了 13/02/10更新)