読書日記 2012年

Home > 読書日記 > 2012年

絶対に行きたい!世界の名山 アフロ 中経の文庫 ★★☆☆☆

確かに、写真は美しい。手前に動物や人物、人工物が写し込んであるのも、立体感があってよい。しかしこの本は、編集がいい加減なので、せっかくの写真が台無しになってしまっている。

まず、山の頂が、ことごとくページの境目に来ているのが頂けない。コラムも中途半端で、取って付けたような印象。難易度もいい加減すぎる。クック山やコトパクシが剱岳より易しいとか、ありえないだろ。ハン・テングリはヨーロッパの山じゃないし。要するに、作り手のこだわりが全く感じられないのだ。編集者は山に興味がないのだろう。

それに、『世界の名山』と銘打ってあるのだから、日本の山は富士山くらいにして、もっと海外の山を充実させて欲しかった。アンナプルナもミニヤコンカもカイラスも梅里雪山も四姑娘山もない。ペトロパブロフスク・カムチャツキーもモンテローザもエルブールスもピレネーの山もない。レーニエやホイットニーをはじめ、アメリカ本土の山が一つも掲載されていない。台湾やニューギニアの山もないし、メキシコのポポカテペトルも良い山だし、イランのダマバンドも捨てがたい・・・。まだまだ世界には名山がたくさんある。

この本の中で登ってみたい山といえば、ムスターグ・アタ。標高7546mもあるのに、実に穏やかな山容だ。南米の山はよく知らないが、知られざる名山がたくさんありそうだ。ペルー、ボリビア、エクアドルの最高峰はそれぞれワスラカン6768m、サハマ6542m、チンボラソ6267mだが、いずれも本書には掲載されていない。(12/09/05読了 13/02/10更新)

前へ   読書日記 2012年   次へ

Copyright 2012 Yoshihito Niimura All Rights Reserved.