読書日記 2012年

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週末アジアでちょっと幸せ 下川裕治 朝日文庫 ★★☆☆☆

「ちょっと幸せ」というけれど、週末でウイグルに行く旅なんて、これっぽっちも楽しそうじゃない。「体がとろけるような旅の時間に浸ることができ」るのは、時間が無制限にあるからこそだ。それは、予期せぬときに向こうからやってくるもので、こちらが追い求めるものではない。だから、時間の限られた週末旅でそれを味わいに行くというのは、そもそも矛盾している。旅人という職業も因果なものである。「一番好きなことは仕事にしないほうがいい」とは、よく言ったものだ。

著者自身も自覚しているように、著者の旅は、27歳のときの『12万円で世界を歩く』で終わったのだ。もはや老境に達した著者のくたびれた写真を見せられても、読んでいるほうがくたびれるばかりだ。この本を読む暇があったら、金子光晴の『マレー蘭印紀行』を読むべきだろう。(12/09/27読了 13/02/10更新)

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