トルコ語のしくみ 吉村大樹 白水社 ★★★★☆
ウイグル語を勉強しようと思った。しかし、現在手に入る教科書は、非常に取っつきにくいことで有名な、大学書林の『現代ウイグル語四週間』しかない。そこで、まずはトルコ語の概略をつかんでおくことにした。トルコ語とウイグル語は、50%共通しているという。
実際、トルコ語とウイグル語はよく似ている。1~10までの数詞は、
トルコ語:bir, iki, üç, dört, beş, altı, yedi, sekiz, dokuz, on
ウイグル語:bir, ikki, üç, töt, bäş, altä, yätta, säkkiz, toqquz, on
である。 br> ただし、ウイグル語はアラビア文字で表記するので、トルコ語よりもずっとハードルが高い。
トルコ語は、チュルク語族の中で圧倒的最大勢力を誇り、7000万人もの話者数を擁する大言語である。チュルク語族には、トルコ語とウイグル語の他に、アゼルバイジャン語、トルクメン語、ウズベク語、カザフ語、キルギス語、タタール語、バシキール語、飛んでシベリアのサハ語などがある。(サハ語を除いて)その分布の両端に位置するトルコ語とウイグル語がこれほど似ているのだから、トルコ語を学んでおけば、中央アジアのかなり広範囲をカバーすることができそうだ。ちなみに、白水社『ニューエクスプレス・スペシャル 日本語の隣人たち』にサハ語のテキストがあるが、それを見る限り、サハ語もよく似ている。
トルコ語は、アルファベットで表記する。特殊な文字としては、ヒゲの生えたç (ch) とş (sh) がある。それから、ğ(ユムシャク・ゲー yumuşak ge)という変わった文字がある(この文字はタタール語でも使われる)。 br> また、点のない I, ı(ウ)と点のある İ, i(イ)がある。ö, üもあるから、母音は全部で8個ある。
語順は日本語と同じ。動詞は人称変化する。
Ben rakı içiyorum. 私はラクを飲んでいます。
Sen rakı içiyorsun. 君はラクを飲んでいます。
Mehmet rakı içiyor. メフメトはラクを飲んでいます。
二人称複数形が丁寧な二人称も表すという点は、なぜか印欧語の多くと共通している。
モンゴル語やフィンランド語と同様、母音調和があることは、トルコ語の大きな特徴である。 br> öğrenmek(学ぶ)、yüzmek(泳ぐ)、çıkmak(出る)、okumak(読む)の(三人称)過去形は、それぞれ öğrendi、yüzdü、çıktı、okudu となる。
Mehmet İstanbul’da oturuyor. メフメトはイスタンブルに住んでいます。
Yarın İstanbul’a gideceğim. 私は明日、イスタンブルへ行きます。
のように、「てにをは」を名詞の後ろに付けるところも日本語と似ている。(13/07/27読了 13/08/07更新)