読書日記 2013年

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いとみち 越谷オサム 新潮文庫 ★★★☆☆

陽だまりの彼女』と同じテイストの表紙につられてつい購入。「糸道」とは、日常的に三味線を弾く人の左手の人差し指の爪の先にある、弦との摩擦でできたくぼみのことをいう。「糸道があく」といえば、三味線が一人前に弾けるようになることだ。こういう日本語を発掘してきてタイトルに据えたところに、著者のセンスが光る。

五能線沿線の板柳に住む主人公の いと は、濃厚な津軽弁の話し手にして津軽三味線の名手(?)という、萌え要素満載のJK1だ。人見知りでドジッ娘のいとが、大都会・青森でメイドカフェのバイトに挑戦。「おがえりなさいませ、ごスずんさま」としか言えないいとだったが、個性的な先輩メイドたちに鍛えられて、ちょっとずつ成長していく・・・っていうお話。例えてみれば、どぎつい味付けのチェーンの牛丼屋の牛丼みたいな作品。元はケータイ小説だったと聞いて、妙に納得した。これを読んでも人生の機微に触れることはないかもしれないが、これはこれで結構ほろりときてしまうのであった。(13/12/06読了 13/12/18更新)

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