読書日記 2016年

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世界の「富士山」 田代博 新日本出版社 ★☆☆☆☆

某書店で新品が半額以下で売られていたので購入してみた。
世界中の「ナントカ富士」を紹介するというマニアックな本だが、クオリティーが低すぎる。
日本からの移民やかつて日本領だった地域に住んでいた日本人が、望郷の念を込めて「〜富士」と呼んだものと、日本人旅行者が勝手に呼んでいるものとが混在している。
前者は歴史的な意味があるが、標高100mちょっとのおよそ登山の対象にならないものも含まれている。後者はなんの意味もなく、これを含めるくらいなら、世界中に散らばっている美しい富士山型の成層火山を網羅すべきだ。
何よりひどいのは、著者はこれらの山々に登っていないどころか、実物を見てすらいないということだ。ただググって個人のブログなどからコピペしただけで、イマドキの学生のレポートよりひどい。
それに、ややベタかもしれないが、日本にたくさんある郷土富士(蝦夷富士、津軽富士、吾妻小富士、榛名富士、八丈富士、諏訪富士、伯耆富士、讃岐富士、伊予富士、薩摩富士など)も一緒に紹介すれば良かったのに。

本書に紹介された山の中で私が登頂済なのは、バリ島のアグン山だけだ(なお、本書の解説では最高地点まで到達していない)。「スマトラ富士」としては、シナブン山よりも最高峰のクリンチ山が相応しいだろう。
玉山 3952m、ダマバンド山 5671m、アララト山 5165m、エトナ山 3330m、テイデ山 3715m、レーニエ山 4392m あたりは近いうちに挑戦してみたい。
アクセスが困難そうだが憧れるのは、千島列島(得撫島コロコル山 1328m、新知島プレボ山 1360m、松輪島サリチェフ山 1496m、阿頼度島アトラソフ山 2339m:千島列島最高峰)と、カムチャッカ半島の山々(クリュチャフスカヤ山 4835m、コリャーク山 3456m、アバチャ山 2741m)だ。
ちなみに、太平洋戦争の激戦地として知られるアリューシャン列島のアッツ島とキスカ島は、今は無人島であり、上陸は禁じられているらしい。(16/05/04読了 16/05/05更新)

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