読書日記 2017年

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ゲノム編集とは何か 小林雅一 講談社現代新書 ★★★☆☆

「DNAのメス」、CRISPR-Cas9システムについて、とてもジャーナリスティックに解説した本。人類は「神の力」を手に入れたとか、AIと組み合わせれば人は500歳(!)まで生きられるようになるとか(もちろん筆者も信じていないが)、科学者にはなかなかこういう物言いはできない。
文章はこなれていて、とても読み易い。

第2章でセントラル・ドグマから分子生物学の基礎を延々と説き起こしているのだが、ここ不要なのではないか。
それよりも、肝心の CRISPR-Cas9システムの分子機構についての説明が分かりにくかった。
そもそも CRISPR (clustered regularly interspaced short palindromic repeats) と CRISPR-associated protein によるシステムは、真正細菌と古細菌に広く見られる獲得免疫系である。そのメカニズムは確かに複雑なのだが、そこを頑張って、分かりやすく説明して欲しかったところだ。

CRISPR-Cas9システムは、医療や食品業界に巨大なビジネスを生み出す。第4章では、その辺の最新の動向について解説してあり、本書の中ではここが一番面白い。例によって、日本は出遅れが懸念されている。
しかし全体的に言って、サイエンスとしての面白さは感じられなかった。ビジネス志向の本なので、仕方ないのかもしれないが。(17/04/27読了 17/05/11更新)

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