読書日記 2018年

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ダーウィンの遺産 渡辺政隆 岩波書店 ★★★☆☆

2009年は、ダーウィンの生誕からちょうど200年目に当たり、かつ『種の起源』の出版から150年目という節目の年であった。そのため、いわゆる「ダーウィン産業」に従事する人たちから雨後の筍のように「ダーウィン本」が出版された。
著者は、まさに2009年に、『種の起源』の新訳を上梓するという大事な仕事を成し遂げた。これまでの、八杉龍一の訳による岩波文庫版に比べて格段に読み易くなった。

ただし、本書の出版は2015年である。著者のダーウィンに対する思い入れが強すぎて、なかなかまとまらなかったらしい。
第1章、第2章はダーウィンの生涯とその業績を扱っており、ここは大変読み易い。ただし、これらのトピックは、幾多あるダーウィン本の内容とそう変わらない。

後半では、ダーウィンが後世に及ぼした影響について述べている。
第3章は進化の総合説まで、第4章はそれ以降である。この第4章がわかりにくい。それに、現代はゲノムの時代なのに、分子進化学についてほとんど触れられていないのはバランスが悪い。
「おわりに」にあるように、「ダーウィンの”慧眼”を後世への影響力で評価する」というのが本書の目論みだとすれば、その肝心の部分が物足りないように思った。(18/10/03読了 18/10/27更新)

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