読書日記 2020年

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ダリエン地峡決死行 北澤豊雄 産業編集センター ★★★★☆

面白い!一気に読んでしまった。まさかこういう展開になるとは・・・。

ダリエン地峡──コロンビアとパナマの国境、アラスカ・フェアバンクスから南米最南端・ウシュアイアまでを貫くパンアメリカンハイウェイが、唯一途切れているところ。
反政府ゲリラによる誘拐事件が跡を絶たず、麻薬の密売人や不法入国者が入り乱れる無法地帯。
スペイン人どもがやってくるずっと前からここに住み、国境を挟んでコロンビアとパナマに村がある先住民クナの人たちでさえ、自由に往来できなくなってしまった。とはいえ、そのことによって、彼らの生活が守られている側面もあるのかもしれないが。

筆者の「決死行」は、無謀との誹りを免れ得ない。一歩間違えれば、いや、かなりの確率で殺害されてもおかしくなかった。
こんなのは冒険ではない、という批判もできるだろう。実際、「グレート・ジャーニー」の関野吉晴も、1996年にここをカヌーで踏破している。
だが、21世紀になって世界はますます分断され、むしろ「冒険」はかつてよりやりにくくなってきている。
筆者は、善良な人を嗅ぎ分ける嗅覚をもっているらしく、ゴロツキどもが跋扈する世界で多くの人に助けてもらいながら、3度目の挑戦でダリエン地峡踏破に成功するのだ。

ところでコロンビアとえいば、かつては南アフリカのヨハネスブルグと並んで治安の悪いことで有名だった。でも今は、かなり改善されているようだ。むしろ、隣国ベネズエラの治安がヤバい。
コロンビアは南米の小さな国というイメージだったが、それはメルカトル図法による錯覚で、実は日本の3倍もの国土を擁する。アマゾンのジャングルから標高5700メートルのクリストバル・コロン山(なんとも味気ない名前だ)まで、起伏に富む国なのだ。
コロナが終息したら、中南米をじっくり旅してみたいものだ。それまでに、スペイン語を習得しておこう。(20/04/19読了 20/04/21更新)

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