平成経済 衰退の本質 金子勝 岩波新書 ★★☆☆☆
本書は、一貫して安倍政権をケチョンケチョンに批判している。
私にはアベノミクスの功罪は判断できないが、その批判にはおおむね同意する。
特に、政府の基礎科学(もっと言えば、学問全般)軽視の姿勢が日本の地盤沈下を招いたことは明白であり、国立大学の運営交付金を年1%ずつ削減するなどという愚策は即刻中止すべきだ。
それはさておき、タイトルで大風呂敷を広げた割には、「平成経済衰退の本質」が結局なんなのか、よくわからなかった。
全体的に言って、いかなる希望も湧いてこない。ではどうすれば良いか、ということが最終章で論じられてはいるものの、既存の枠組みの中での細かい議論に終始している。政府への提言としてはいいかもしれないが、本書を通読したところで何かが得られるわけではない。(20/10/11読了 21/01/30更新)