独ソ戦 ★★☆☆☆ 大木毅 岩波新書
プーチンのウクライナ戦争によって、独ソ戦が脚光を浴びている。
独ソ戦は、ヒトラーとスターリンという、人類史上でも稀に見る凶悪な独裁者が真正面から激突した戦争として特異なものである。人的被害は甚大で、ドイツ側は600〜800万人、ソ連に至っては2700万人もの人命が失われた。
本書はしかし、歴史書というよりも軍事学の教科書である。何年何月の何作戦で、何部隊がどこに展開し、何台の戦車を失ったとか、そういうデータが羅列してあるばかりで、読んでいて退屈極まりない。なぜこれが「新書大賞」なのだろう。
「ナチズム、ホロコーストとの関連や、政治外交史的側面や戦時経済のことも触れた通史として、独ソ戦に関心があって勉強したいと思っているひとが、最初に手に取るべき本」を目指していたようだが、成功しているとは言いがたい。
それに、記述がドイツ側の視点に偏っているように思った。(24/03/12読了 24/03/13更新)