私の文章修業 ★★★☆☆ 週刊朝日 編 朝日選書
1984年刊。
丸谷才一、円地文子、團伊玖磨、北杜夫、開高健、東海林さだお、宇野千代、大岡信、吉行淳之介、ドナルド・キーン、梅原猛、沢木耕太郎、大岡昇平、大野晋、三善晃、井上靖…といった、当代一流の錚々たる執筆陣。
「週刊朝日」の連載をまとめたもので、当時はまだ、週刊誌というメディアが元気だった。
この当時、「文章を書く」ということは、イコール「原稿用紙のマスを埋める」だった。
だから、文章を書ける人はごく一部に限られていた。現在では、文章を書くハードルは圧倒的に下がったが、その結果、ゴミのような文章が世の中に大量に出回るようになってしまった。
本書のタイトルは『私の文章修業』だが、ほとんどの筆者が口を揃えて、修業など何もしていないという。ただ、好きな作家の文章を濫読してきただけだと。
良い文章を書くためには、良い文章にできるだけ多く触れるしかない。この点は、昔も今も変わらないのかもしれない。(24/03/11読了 24/03/13更新)