最新・白内障治療 ★★★☆☆ 杉田達 時事通信社
自分が白内障の手術を受けてからこの本を読むと、内容がよく理解できる。
手術中なにやら計測して人工レンズの度を決定していたのは、「オラシステム」を使っていたからだったのか。
自分の場合、近距離(30cm)に合わせた単焦点レンズを選択して正解だったと思う。(それしか選択肢がなかったからだが。)
私のような超強度近視(-15D)の人は、ずっと近視の世界で生きてきたから、裸眼で近視が残っているほうがむしろ自然なのだ。なんの違和感もなく、手術後ただちに順応できた。
眼鏡を使えばベストな視力が得られることが保証されているのだから、リスクを犯してまで多焦点レンズにこだわる理由はないのだ。
著者自身は、自らの白内障治療に多焦点レンズをインプラントしている。しかし、この著者は老眼になる前はずっと1.2の視力をキープしていたというから、あまり参考にならない。
世の中にある白内障本はすべからく多焦点レンズ推しなのだが、そうまでして眼鏡なしの生活にこだわるのは、それまでずっと健康な目を保持してきた人たちだろう。そう考えると、近視の人生も悪くなかったということだ。
また本書では、「モノビジョン法」という、左右で1~1.5Dの差をつけて立体視を得る方法を推奨しているが、これは相当に見にくいような気がする。
それにしても、自分が病気になってみると、医学の進歩の有り難みがわかる。もし生まれてくるのが50年早ければ、もう失明状態だったかもしれないし、手術もさぞ苦痛だっただろう。(24/03/09読了 24/03/10更新)