読書日記 2008年

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バスクとバスク人 渡部哲郎 平凡社新書 ★★★☆☆

バスク語は、インド・ヨーロッパ語族が侵入する以前の唯一の生き残りであると言われる。系統的に孤立した言語であり、能格構文などの極めて興味深い特徴が見られる。話者数たったの60万人(練馬区の人口より少ない!)ながら、今なお強固な独自性を維持しているバスクとは、一体何者であるのか。

バスクは、奇跡的に、古代ローマ帝国による占領を免れたらしい。カスティーリャ(スペイン)語とフランス語という2つの巨大言語圏に挟まれながら、(フランコ独裁下で弾圧されたが)基本的には、ずっと自治を保ってきた。決して孤立した集団ではなく、むしろ積極的に外の世界とつながりを持ち、バスクから世界に広がった「知恵」も多い。
それにしても、2000年現在において、スペインのバスク州全体で、バスク語のみで教育を行う初等学校の選択率が43%というのは驚異的な数値である。

というわけで、私はバスクの国に行くことにした。(08/04/26 読了)

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