文章は接続詞で決まる 石黒圭 光文社新書 ★★★★☆
文章を書くときには、書く内容が決まったあとに、流れを良くするために接続詞や文末をいじる。それはいつもやっていることだが、今まで意識して考えたことはなかった。このように体系的に示されると、月並みな表現だが、まさに目から鱗が落ちる。
本書のいう「接続詞」には、「〜のだ」や「〜と思われる」といった文末表現も含まれる。私の書く文章は接続詞が多すぎる傾向があり、特にこの「のだ」が多い。そういう文章は押しつけがましい。痛いところを突かれた思いだ。
本書の説明は、恐ろしく分かり易い。例えば、「しかし」と「だが」の違いについて。
「しかし」は先行文脈と後続文脈の食い違いを強調する接続詞で、文章の展開を積極的に切り替える意味合いをもっています。それにたいして、「だが」は先行文脈の延長線上に後続文脈が来ないことを示す接続詞で、それまでの文脈で示さなかった事実や書き手の意見を「じつは」という感じで差しだす意味合いを持っています。「しかし」ほど強くありませんが、決して弱くもありません。たとえていうと、「しかし」が見た目も派手なハードパンチだとすると、「だが」はあとでじんわりと効いてくるボディーブローです。
留学生に日本語を教えるときには、こういう緻密な分析が必要なのであろう。本書は全体を通して、驚くほど平易な文章で貫かれているが、その反面、文学的な香りもない。(08/12/19 読了)