赤頭巾ちゃん気をつけて 庄司薫 中公文庫 ★★★☆☆
安田講堂での攻防によって東大入試が中止に追い込まれた1969年(昭和44年)に日比谷高校を卒業した、今は57歳になっているはずの18歳の「ぼく」が主人公。
もし10代の頃にこれを読んでいたら、共感できたのか反発を覚えたのか、それは今となっては分からない。しかしまぁ、これぞ青春小説っていうこのエンディングはなかなか良いではないか。当時は新しかったであろう饒舌な口語体も、私はなかなか好きである。
40年経っても若者の考えることはちっとも変わっていないけど、当時の風俗が垣間見えるのが興味深い。
「あなた、ケーコートーねえ」というのは、反応が鈍いってことらしいね。(こういうのが瞬時に分かってしまうのがインターネット時代の凄さだと思う。)そういえば昔の蛍光灯はなかなか点かなかったっけ、ってこの時代に私はまだ生まれていないけど。
作者の庄司薫は1974年にピアニストの中村紘子と結婚するのだが、その中村紘子が作中に登場する(P.104)のが面白い。
なお、歴代の芥川賞受賞作のリストはこちら。(09/02/14 読了)