両手いっぱいの言葉 寺山修司 新潮文庫 ★★★★☆
「愛」に始まり「夢」に終わる、413のアフォリズム(箴言)。前衛芸術のような不思議な味わいがある、寺山修司の言語感覚は好きだなぁ。
きみのいる刑務所とわがアパートを地中でつなぐ古きガス管
マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや
人生はただ一問の質問にすぎぬと書けば二月のかもめ
滅びつつ秋の地平に照る雲よ涙は愛のためにのみあり
どんな鳥だって
想像力より高く飛ぶことは
できないだろう
同じ鳥でも飛ばない鳥はなあんだ?
それはひとり という鳥だ
明日何が起こるかわかってしまったら、明日まで生きるたのしみがなくなってしまうことだろう。
不幸な物語のあとには、
かならず幸福な人生が出番を待っています。
言葉を友人に持ちたいと思うことがある。
それは、旅路の途中でじぶんがたった一人だということに気づいたときである。
一体、文字は本の中に「挟みこまれている」だけなのか、それとも虫のように「へばりついている」のか? 印刷活字に、鉛の重さがあるように、文字にもまたそれぞれの重さがあって、持ち方をまちがえると「こぼれ落ちて」しまうのではないか?
なみだは人間の作るいちばん小さな海です。
(09/04/26 読了)