読書日記 2009年

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世界は分けても分からない 福岡伸一 講談社現代新書 ★★★☆☆

ロサンゼルスのGetty Musiumは訪れたことがあるが、やたらと巨大な割にはこれといって見るべきものもない、いかにもカネにものを言わせて作った感じの悪趣味な美術館だった。
そこに、「ラグーンのハンティング」という絵があることは全く気付かなかった。さて、コルティジャーネ(高級娼婦)たちが虚ろな視線の先に見たものは・・・。

あるいは、コンビニのサンドイッチはなぜ腐らないのか。ソルビン酸という魔法の薬が添加してあるからだ。それは、人体には無害かもしれないが、人間と共生して暮らす腸内細菌をも殺してしまう。

この人の著作はいつも不思議な魅力を放っている。サイエンスから詩を紡ぎ出す著者の筆力には脱帽する。
ただ、前半と後半が断絶していて、全体としては「世界は分けても分からない」という主張にはあまり結びついていないような印象を受けた。(09/12/29 読了)

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