マラソン100回の知恵 原章二 平凡社新書 ★★☆☆☆
名ランナーといわれる人は、入念に準備したマラソンを、生涯に多くて十数回経験する。一方、普通の市民ランナーは、常に練習不足のまま、ウォーミングアップもそこそこに泡を食って走り出す。そんなことを年に十数回も繰り返すうち、フルマラソンを百回、二百回、いや千回走ってしまう人もいる。
エリートランナーは多い練習で少ないレース、市民ランナーは少ない練習で多いレース。自分だって、いつかはサブフォー、いやサブスリーだって、と思わなくもないが、どんなに練習を積んだところで自分の出せるタイムはたかがしれている。でも、こういうマラソンとのつきあい方もあるのだ、と思うと心強い。私は、タイムにはあまりこだわらず、ただひたすら走り続けることを目指したい。
著者は哲学者である。最初のうちは、著者のランニングに対する哲学を期待して読み進めた。しかし、第2章以降はありきたりのことしか書かれていなかった。実用的なことに関しては、名コーチの書いたハウツー本を読んだ方がずっと有益だろう。読み終わって、やけに内容が希薄だったと思ったら、どうも普通の新書に比べて活字が大きいようだ。(10/01/21読了)